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No.62026/10/31#歴史#文化

カーマ・スートラで体位が出てくるのは、全7巻のうち第2巻だけ

「カーマ・スートラ=体位の本」と思われがち。でも実は、恋人探しから結婚、浮気、遊女の商売、媚薬までを扱う「楽しく暮らす技術」の本で、体位が出てくるのは第2巻だけだった。

舞姫華さんっ! カーマ・スートラってさ、エッチな体位が百個くらい載ってる「体位の図鑑」でしょ!? ボク知ってるもんっ!

姫華……はぁ。百個もないし、図鑑でもないわ。カーマ・スートラは古代インドのサンスクリット語の本で、たぶん3世紀の後半に北インドで書かれたの。「カーマ」は快楽や欲望や愛、「スートラ」は教えをまとめた本のこと。性だけじゃなくて、「楽しく暮らす技術」ぜんぶがテーマなのよ。

舞へぇ~っ! じゃあ書いたのは、えーっと……バツイチヤーナさんだよねっ!

姫華ヴァーツヤーヤナよ! 勝手にバツを付けないで! ……ヴァーツヤーヤナ・マッラナーガ。でも本人のことは、ほとんど何も分かってないの。しかも本人いわく、この本は、もう残っていない先人たちの本をまとめ直したものなんですって。

姫華全体は7巻・64の節。第1巻は、カーマを人生の三つの目的のひとつに置くところから始まるわ。残りの二つは、ダルマ(宗教や法)とアルタ(富や権力)。で、体位が出てくるのは第2巻だけよ。

舞えっ、たったそれだけ!? じゃあ残りの巻は何が書いてあるのさっ!

姫華恋人探しと結婚、妻の家の切り盛り、浮気、遊女の商売のコツ。最後の第7巻は媚薬やおまじないね。第2巻だっていきなり体位じゃないわ。抱擁12種、キス17種、ひっかき傷と噛み跡16種……って並べたあとで、やっと体位17種。本そのものが前戯みたいな構成なのよ。

舞第7巻いいじゃんっ! ボクも媚薬作って、姫華さんをメロメロにしちゃうっ! 何混ぜればいいの!?

姫華教えないわよ!! ……まあ、ミントや生姜なんかを煮出した汁を笛に塗って吹けば、その音を聞いた女は男の言いなり、なんて処方は載ってるけど。でも本の最後で本人が「本に書いてあるからといって、やっていい理由にはならない」って、わざわざ釘を刺してるの。

姫華西洋で有名になったのは1883年の英訳。リチャード・バートンの名前で出たけど、訳したのは本人じゃなかったと言われてるわ。当時のイギリスのわいせつ出版物法は、一般に売る本が対象。だから会員がバートンと友人の2人だけの「ヒンドゥー・カーマ・シャーストラ協会」から、250部だけ内輪向けに出したの。そのあと海賊版が出回りまくって、歴史上いちばん海賊版が作られた本のひとつになったわ。

舞会員2人の秘密クラブ!? かっこいいっ! ボクと姫華さんで作ろうよっ、「カーマ・スーツ協会」! おそろいのスーツでさっ!

姫華作らないわよ!! スーツも着ないわ!! ……ふふん。体位の本だと思われてるのは、20世紀以降に体位の部分ばかり切り取られて広まったからよ。アンタも、題名だけで中身を決めつけるのはやめなさい。

姫華のまとめ

  • カーマ・スートラは、ヴァーツヤーヤナ・マッラナーガが書いた古代インドのサンスクリット語の本で、3世紀後半に北インドで書かれたと考えられている。テーマは性を含む「快楽(カーマ)」全般で、カーマをダルマ(宗教・法)、アルタ(富・権力)と並ぶ人生の三つの目的のひとつに置く。
  • 全7巻・64節。体位は第2巻にあり、抱擁12種・キス17種などのあとに体位17種が出てくる。ほかの巻は恋人探しと結婚、家の切り盛り、浮気、遊女、媚薬などを扱う。
  • 有名な英訳は1883年にリチャード・バートンの名で、会員2人の「ヒンドゥー・カーマ・シャーストラ協会」から250部出た。一般に売る本が対象のわいせつ出版物法をかわすためで、のちに海賊版が大量に出回った。

出典

※一般的な雑学です。医療上の判断が必要なことは医療機関に相談してください。登場人物はすべて成人です。